会社を辞めて1ヶ月(2)

4月8日 お昼頃

今日は両親と一緒に中間報告を聞きに病院にきた。

案内されたのは地下の科学医療室。初めてきた場所に緊張しながら先生に呼ばれるのを待っていた。簡単な記入を済ませて待つごと30分。血液内科の先生に通された。

 

「中間報告なのではっきりとは言えませんが、恐らく悪性リンパ腫の可能性が高いです。リンパ腫の癌の一種です。」

 

覚悟はしていた。

最悪な結果でも受け止めると自分に何度も言い聞かせた。

だから冷静にいられたのかもしれない。

でも母の涙には凄く胸が痛んだ。

 

 

「健康に産んであげられなくてごめんね。」

「いやいや、30年間元気だったじゃん。」

「本当にごめんね。」

 

 

私の手を握りしめながら震えて泣く母の背中をさすりながら、自分は親不孝だな・・と目頭が熱くなるのを感じた。

 

 

「治療でお金いっぱいかかるけどごめんね、パパ」

「そんなこと気にしなくていいから。治すことに専念しよう。」

 

 

父の目を見たら泣きそうだったから顔を見て言えなかったけど、いつもより優しい声だった気がする。

 

 

しかし、入院の手続きを待ってる間に急展開が起きた。もしかしたら違う病気かもしれないので、もっと大きい病院で見てもらった方がいい。紹介状を出すからすぐ向かって欲しいと言われた。正直よく分からないまま、築地の国立がん研究センターに行くことになった。

 

車で移動している時から身体は結構厳しかったと思う。呼吸の苦しさと頭と喉の圧迫感。座っているのもギリギリだった。でもここで倒れるわけにはいかない。せめて新しい病院について受付を済まして診察までには耐えないといけない。親にも心配かけたくない。ただの意地だった。

 

やっと診察受付まで済ませた後、看護師さんにお願いしてベッドで休ませてもらえることができた。そこから入院まではあっという間だったと思う。