会社を辞めて1ヶ月 ⑴

4年半勤めていた会社を3/8に退職した。

なかなか自分の時間が取れず疲れた身体に鞭を打ちながら働いていた毎日にさよならして、暫しの休暇を満喫していた。汚かった部屋を掃除したり、カラオケ行ったり、オタク現場行ったり、サウナ行ったり、外食行ったり、夜遅くまでゲームしてお昼まで寝るニート生活万歳!!!

 

しかし2週間も経つとこのままでいいのか不安になり、バイトでもした方がいいのでは・・・とそわそわしながらiMac27incを買っていた。今のiMacが古かったのでとりあえず武器を揃える必要があったのだ。でかい出費ではあったけどデザイナーにとっては必需品なので高くはないだろう。

よし!武器も揃ったのでバリバリ作業するぞ〜とデスクに向き合いたかったのだが、ここ最近身体の調子がイマイチなのが気になって通院を繰り返していた。

 

最初は右首から腕の痛みから始まり、職業病のコリかな?と思って痛み止めで様子見。しかしよくなること無く次は顔が1.5倍ぐらい浮腫んできたのだ。次第に胸は圧迫されて息苦しくなり、頭痛も酷くなった。まっすぐ寝ることが困難なぐらいに。夜中は咳が酷くて眠れない日もあった。

さすがに危機感を覚えて地元のクリニックに見てもらうことにした。症状を説明して胸のレントゲンを一枚取ることになった。私は本当に軽い気持ちで大人でもなる喘息みたいなものだと思っていた。だから、レントゲンに映っていた胸に溜まっている水を見てびっくりした。クリニックの先生も大きい病院を紹介するから早く行った方がいいと急いでくれて家族にも連絡してそのまま大きい呼吸器官専門病院に行くことになった。正直病院に向かってる時もピンと来なくて、ネットで検索しても怖いことしか書いてなかったのですぐに見ることはやめた。

 

どこかで余裕はまだあった。そんな重い病気ではないだろう。

昨日だってサウナでたくさん汗をかいて、一昨日はカラオケで熱唱したばかりだ。

私は普通だ。そう思えた。

 

いろんな検査を終えて一時間ぐらい待った頃、先生に呼ばれた。最初は一人で部屋に入ってCTを見せてもらった。

 

「Mさん、これは急いだ方がいいですね」

「えっ」

 

胸の縦隔に大きい腫瘍があって心臓と動脈を圧迫している状態。

早く入院した方が良い、腫瘍も陽性と悪性の可能性があるからもっと大きい病院で検査した方がいいと言われ、また紹介状を書いてもらうことになった。予約は翌日の朝だったので一旦お家に帰ることになった。

 

 

身体中の血の気が引いていくのを感じた。

それと同時にやるしかないと自分を落ち着かせた。

まだ病名もわかっていない。そんなに難しい病気じゃないかもしれない。

病は気から来るって言われてるし、きっと大丈夫。そう自分に言い聞かせた。

帰宅してからなるべく安静にしながら、普通に振る舞うように1日を過ごした。

 

 

翌日妹と母親に連れ添ってもらいながら川口医療センターに行った。

CTからレントゲン、採血検査、病名を調べるための細胞摘出などハードな検査が続いた。結果はすぐに出ることは難しいけど、月曜日に中間報告ができると言われてそのまま帰宅することにした。先生はおそらくリンパ腫の可能性が高いと仰ってた。まるで他人事のように聞こえた。

 

日曜日は妹の就職祝いも兼ねて外食をした。家族でよく行くトンカツ屋さんだ。入院したら美味しいご飯も食べれなくなるかもしれないと、父親が気を使ってくれたのが嬉しかった。トンカツは本当に美味しそうで実際口にしても美味しく感じるのに喉に通らなくて半分ぐらいしか食べれなかった。この時初めて自分の身体が弱ってきてるんだと実感した。